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パレートの法則は金持ち専用の法則です。貧乏人には適用されません。

パレートの法則、という言葉があります。俗に80:20の法則などとも呼ばれ、構成要素のごく一部が、全体に対して大きい影響を持つことを言い表すのに使われるようです。さらにぐぐってみると、元々は、所得の分布がべき分布になるという主張だった、というような記述も見つかります。

こんなことが書いてあるものだから、所得の分布が全領域でべき分布になると、思い込んだりしていませんか?複雑系スキスキーな人、ひっかかっていませんか?恥ずかしながら、私は今の今まで、所得の分布イコールべき分布だと無批判に思い込んでおりました。しかし実際には、事態はそう単純ではないようです。

確かに、所得の分布に関してパレートの法則(以降、べき分布を指すのにこの単語を用います)は成り立ちます。しかしそれは、高所得者層に限っての話なのです。低所得者層には、パレートの法則に代わる別の自然法則が適用されるのです。金持ちと貧乏人の間には、量的なだけでなく、質的な違いがあるのです。

……というような話を、以下の元ネタ論文をつまみにぐだぐだ述べていこうかと思います。
#与太話はどうでもいい、という方は、是非論文をご覧ください。保存則と時間反転対称性と統計力学を武器に、所得のボルツマン分布を解き明かしていく(?)ステキ論文です。

さて、所得の分布が実際にはどうなっているのか調べたいとき、どうすればいいでしょう。と、問うまでもない問題で、実際にデータを取得してみればいいのです。今回は都合よくデータがあったようで、論文の著者らは、米国国税庁(IRS)が公表しているデータに着目しました。実際に所得の調査を行うのではなく、ある所得階級に属する納税申告書の数を使うことで、所得の分布に代用しようというのです。どうしてこんな搦め手から攻めるような作戦を取ったのかよくわかりませんが。

#追記。そりゃサンプル数をきわめて多く取れるからに決まってますな。。。

分布のグラフを論文から引用してもよいのですが、論文のデータが最新で2001年と若干古いということもあり、せっかくですので公開されているデータを使って、自前でグラフを描いてみます。データは、このページの、Table1.4に記載されているものを用います。最新データは2007年ですので、これを使います。所得の累積度数分布を作成し、グラフにしたのが以下の図です。

IRS2007.png

横軸に所得、縦軸に累積分布(%)をとってあります。いつものように、両対数プロットです。もし所得の分布がパレートの法則に従うのなら、このグラフ上で直線になるはずです。確かに、高所得側ではそのようになっています(青い線)。しかし、所得10万ドル付近を境に、低所得側はべき分布になっていません。

低所得側を説明するのが、緑の線で示した関数です。これは、Boltzmann-Gibbs(ボルツマン-ギブス)分布というご大層な名前がつけられていますが、実態はたんなる指数関数です。内挿図は、縦軸のみを対数プロットにしたものです。このようなプロットでは、指数関数は直線となって表示されます。確かに低所得側では、所得の分布は指数関数に乗っているようです。

#たんなる指数関数に、統計力学の巨人二人の名前がついている理由は、この指数関数が統計力学的なアプローチで予見されたためです。というか、統計力学で出てくるボルツマン分布そのものと言っていいはず。詳細は論文読んでくらさい。

以上、眠い眼をこすりながらさくっと作ったグラフでした。ちゃんとしたのは論文見てください。

話をここで終わらせてしまうと、単なる論文の丸パクリ記事となってしまいます。しかもアメリカの話だけ。ということで、日本の所得分布についても見てみることにしましょう。統計データは、統計局が公表しているものにありそうなのですが、探す気力が無かったのでパス。元ネタ論文のように、国税庁のサイトを調べてみたらすんなり見つかりました。平成19年の全データ、65ページの表、「区分」と「申告納税者数」のデータを使います。グラフは次のようになります。

kokuzei2007.png

グラフはアメリカのものとほとんど同じとなりました。高所得側ではパレートの法則が成り立っています。所得1000万円程度を境に、低所得側では指数関数となります。(とはいえ、内挿図に示したように、指数関数からのばらつきが、アメリカの場合より若干多いようにも見えます。これが何を示しているのかはわかりません)

結論。
所得に関するパレートの法則は、所得1000万円以上のお金持ちに対してのみ適用されます。貧乏人の所得は、指数関数に従い、どうも両者には質的な違いすらあるように見えます。
まあ、経済の人には常識なのかもしれませんが、私は知りませんでした。

もうちょっと教訓めいたものを引き出すなら、以下の二点でしょうか。
ひとつめは、○○の法則と名のつくものがあれば、必ずその適用範囲をチェックしなければいけない、ということ。これは、数学や自然科学を勉強すれば、必ず身につけているべきプロセスです。この記事の最初に「恥ずかしながら」と書いたのはそういうことです。初等的な解説では、混乱を避けるためにあえて法則の適用範囲に関する議論を省くことがあります。しかし、○○の法則を使うためには、そこで満足していてはいけない、ということなのでしょう。
もうひとつは、○○の法則を、実際の測定値を見て確認しないといけない、ということ。これも、初等的な解説ではなかなか難しいわけですが、○○の法則が現実世界にリンクするものである以上、やらなきゃいけないプロセスではあります。

最近、男性に対する評価に関して極めて普遍的に成立する適用条件が発見されたことですし、法則うんぬん関係なく、適用範囲のチェックはしなければいけません、ということでしょうね。いやはや生き辛い世界だ('A`)

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二次元眼鏡少女に蔑まれたいです。

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